
セラピストとして、どんなキャリアを描いていけばいいのか。
転職を考えている人。
今の働き方に迷っている人。
一度、自分の市場価値について考えてみてほしい。
これは北野唯我さんの著書『転職の思考法』を読んでいる中で、セラピスト業界向けに自分なりに整理した内容である。
市場価値とは何か
病院や施設で働くセラピストは、ある意味では「労働力」という商品でもある。
市場価値が高い人は、
仮に今の職場がなくなったとしても、
別の病院や施設から必要とされる。
逆に市場価値が低いと、
「やりたい分野」ではなく、
「入れる職場」を選ばなければいけなくなる。
終身雇用が崩れつつある今、
本当の意味での安定とは、
“どこでも通用する人材であること”
なのかもしれない。
セラピストの市場価値はこの3つで決まる
本書でいう転職における市場価値を、
セラピストに置き換えると、
- 技術資産
- 人的資産
- ポジショニング生産性
この3つで決まる。

① 技術資産
どこに行っても通用するスキル。
つまり、
「専門性」と「経験」
のこと。
例えば、
- 運動器疾患に対する筋膜リリース技術を深める(専門性)
- 心リハの認定資格を取得する(専門性)
- 急性期病院で5年勤務してきた(経験)
こうした積み重ねは、
環境が変わっても使える“武器”になる。
② 人的資産
これはコミュニケーション力や人間力。
- 他部署と連携できる
- 院外にも繋がりがある
- 紹介や相談が自然と集まる
特に強いのは、
「あの人がいるからお願いしたい」
と言われるレベル。
技術だけではなく、
“誰と働きたいか”も市場価値になる。
③ ポジショニング生産性
これは「どの場所で価値を発揮するか」という視点。
本書では“業界生産性”という考え方が出てくるが、セラピスト業界の場合、多くが医療・介護領域で働くため、業界差だけでは説明しにくい。
だから自分は、
「どんなポジションを取るか」
が重要だと思っている。
実際、報酬が高いセラピストを見ていくと、
- 病院やクリニックの事務長
- 訪問・デイサービスの管理者
- 保険外事業のマネージャー
- 部門責任者
など、
“人や組織を動かす役割”
を担っている人が多い。
つまり、
管理能力やマネジメント経験そのものが市場価値になる。
市場価値を上げる人の特徴
ここが一番大事だと思っている。
市場価値が高まる人は、
“上司”ではなく、“クライアント”を見ている。
もちろん、
上司の話を聞かなくていいとか、
同僚に嫌われてもいい、
という意味ではない。
ただ、
- 上司に怒られないように動く
- 同僚に嫌われないように無難に振る舞う
ことだけが目的になると、
その組織の中では評価されても、
環境が変わった瞬間に通用しなくなることがある。

「誰のために学ぶか」
例えば、
「部長が喜ぶから認定資格を取る」
という動機で学ぶ人もいる。
もちろん、資格取得そのものは悪いことではない。
ただ、
“評価されるため”だけが目的になると、
資格が“肩書き”で終わってしまうケースも少なくない。
結果として、
現場での判断や臨床推論に繋がらず、
技術資産として積み上がりにくいことがある。
「学ぶこと」が目的になると、
資格は増える。でも“見れる患者”は増えない。
一方で、
「担当している患者をもっと深く見たい」
「この症状をもっと理解したい」
という理由で学ぶ人は、
学び方そのものが変わる。
さらに、
院外の同じ分野に興味を持つセラピストと繋がり、
情報交換を続けられる人は、
技術資産だけでなく、人的資産も積み上がっていく。
つまり、
“学ぶこと”ではなく、
“誰を深く見るために学ぶか”
そこが市場価値を分けていくのだと思う。
管理能力はどうやって身につくのか
ポジショニング生産性を高めるうえで重要なのが、
「上司の仕事を先回りできるか」
という視点。
例えば、
主任や課長がシフト作成に追われているなら、
「叩き台作りますか?」
と動ける人。
イベントや勉強会など、
“意外と時間を取られている仕事”
を察知して先回りできる人。
こういう人は、
単なる“気が利く人”ではなく、
「上司の時間=組織の時間を作れる人」
であり、管理能力が高い。
ここは、
「上司に気に入られる」
とは少し違う。
組織が困っていることを解決する、
“対クライアント視点の応用”
だと思っている。
臨床も業務管理も同じ。
困っていることを見抜き、それをいかに提供できるか。
そのためにスキルを磨き続けられるか。
「先回りして考え行動できる人」と「空き時間にYouTubeやTik Tokを見てる人」
この両者には大きな市場価値の差が生まれるのは言うまでもない。
環境選びも重要
もう一つ大事なのは、
「管理を任されやすい組織に行くこと」
病院やクリニックは、まだ年功序列の文化が強いところも多い。
そのため、
ポストがなかなか空かず、
マネジメント経験を積みにくいケースもある。
一方、株式会社が運営している訪問リハなどの介護保険サービス、放課後デイなどの福祉サービス、ピラティスやフィジカルケアなどの保険外サービスなどは、
経営者や幹部との距離が比較的近く、
若いうちから管理業務の役割を任されやすい。
これから伸びる組織で
先にポジションを取れると、
管理能力や経験が積み上がり、
市場価値も高まりやすい。

最後に
もちろん大前提として、
まずは今与えられている仕事を真摯にやること。
基本の仕事で成果を出せないまま、
マネジメントだけ求めても役割は回ってこない。
そのうえで、
- 技術資産
- 人的資産
- ポジショニング
を意識しながら、
どこでも必要とされるセラピストを目指していく。
それが結果的に、
「安定したキャリア」
につながっていくのだと思う。








